歯医者のクリーニングは痛い?痛みの原因と対処法を歯科衛生士が解説

歯医者のクリーニングで歯石を取る様子 🦷 歯ぐき・歯の変化と不安

「歯医者のクリーニングって、痛いのかな」「歯石取りが怖くて、なかなか予約できない」「久しぶりの歯医者で何をされるか不安…」——こんな気持ちで歯科受診をためらっている方は、実はとても多いんです。

結論から言うと、歯医者のクリーニングで痛みを感じる主な理由は次の3つです。

・歯ぐきに炎症がある
・歯石が多く付着している
・知覚過敏がある

歯ぐきが健康な状態であれば、クリーニング中に強い痛みを感じることはほとんどありません。


歯医者のクリーニングは、基本的に強い痛みは出ない

まず大前提としてお伝えしたいのは、歯ぐきが健康な状態であれば、クリーニング中に強い痛みを感じることはほとんどないということです。

歯科医院で行うクリーニング(PMTC)や歯石取りは、麻酔なしで行うのが一般的ですが、健康な歯ぐきに対しては「少しくすぐったい」「器具が当たっている感覚がある」程度で、痛みというほどのものを感じない方がほとんどです。

ただし、口の中の状態によっては、刺激を感じやすいケースもあります。次のセクションでは、その理由を具体的に見ていきましょう。


クリーニングで痛みを感じる主な理由

歯ぐきに炎症がある

歯ぐきが健康な状態であれば、少しくらい器具が触れても痛みはほとんどありません。しかし、歯肉炎や歯周病によって歯ぐきに炎症が起きていると、普段より刺激に対して敏感になります。

炎症が起きている歯ぐきは、血流が増えてやわらかくなっており、軽く触れただけでもズキッとした感覚を覚えることがあります。「歯磨きで血が出ることがある」という方は、すでに歯肉炎の可能性があり、クリーニング中に痛みや出血を感じやすい状態にあるかもしれません。

歯医者のクリーニングで出血する理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。
歯医者のクリーニングで血が出るのはなぜ?歯磨きでは出ない理由を歯科衛生士が解説

歯石が多くついている

歯石が歯にたくさん付着している場合、それを取り除く際に刺激を感じることがあります。特に歯と歯ぐきの境目(歯肉溝)の深いところに歯石が溜まっていると、器具がより深い位置まで届くため、圧迫感や痛みを感じやすくなります。

歯石は長い期間をかけて硬くなっていくものなので、久しぶりに歯科を受診した方ほど、歯石が多く溜まりやすい傾向があります。歯石の量が多いと、一度に除去するのが難しく、複数回に分けてクリーニングを行うこともあります。

知覚過敏がある

歯の根元部分(歯頸部)が露出していると、器具が触れたときに「キーン」としみるような感覚を覚えることがあります。これは知覚過敏と呼ばれる状態で、加齢や歯ぎしり、誤った歯磨きの仕方などが原因で起こります。

知覚過敏がある方は、クリーニング中に冷たい水や器具の振動に対して敏感に反応することがあります。事前に歯科衛生士や歯科医師に伝えておくことで、器具の当て方を調整したり、知覚過敏用のジェルを使用したりと、痛みを軽減する対応をしてもらえることが多いです。


痛みを減らすためのポイント

クリーニングの際の痛みは、日頃のケアと定期受診によって、かなり抑えることができます。

定期的にクリーニングを受ける

クリーニングの間隔が長ければ長いほど、歯石の蓄積や歯ぐきの炎症が進みやすくなります。3〜6ヶ月に一度を目安に定期的に受診することで、毎回の処置がより軽くなり、痛みを感じにくくなっていきます。「久しぶりだから怖い」と感じている方ほど、定期受診に切り替えていただくと、次回からぐっと楽になることが多いです。

毎日の歯磨きを丁寧に行う

歯ぐきの炎症を防ぐためには、毎日の歯磨きが基本です。歯と歯ぐきの境目を意識して、やさしく丁寧にブラッシングする習慣をつけましょう。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまうので、歯ブラシは「軽く当てる程度」で十分です。

デンタルフロスを使う

歯と歯の間は歯ブラシだけでは磨けないため、デンタルフロスの活用が効果的です。歯間のプラークを定期的に取り除くことで、歯肉炎の予防につながり、クリーニング時の痛みも感じにくくなっていきます。

痛みを感じたら遠慮なく伝える

クリーニング中に「痛い」「しみる」と感じたら、我慢せずにすぐに歯科衛生士へ伝えてください。器具の当て方を変えたり、ペースを落としたりと、できる範囲で対応してもらえます。何も言わずに我慢していると、歯科受診自体が嫌になってしまうこともあるので、遠慮なく声をかけることが大切です。


歯医者のクリーニングが怖いと感じる人へ

歯医者のクリーニングが怖いと感じる方は少なくありません。

しかし、歯石や歯ぐきの炎症が少ない状態であれば、処置の刺激はかなり軽くなります。

そのため「久しぶりだから怖い」と感じている方ほど、早めに受診することで次回以降のクリーニングが楽になるケースが多いです。

歯科衛生士としてよくあるケース

臨床でよく経験するのが、「数年ぶりに来院した患者さんが、クリーニングの痛みに驚く」というケースです。

久しぶりの受診では、歯石が多く蓄積していたり、歯ぐきに慢性的な炎症が起きていたりすることが多く、どうしても処置中の刺激が大きくなりやすいです。

そのような患者さんには、「今回は少し刺激を感じやすいかもしれませんが、定期的に来ていただくと次第に楽になっていきます」とお伝えするようにしています。実際、3ヶ月・6ヶ月と定期受診を続けていただいた方からは、「最初は痛かったけど、最近は全然平気になった」というお声をいただくことも多いです。

「久しぶりで怖い」という気持ちはよく理解できますが、だからこそ早めに足を運んでいただく方が、結果的に痛みを感じにくい状態に近づいていきます。


まとめ

歯医者のクリーニングが痛いかどうかは、お口の状態によって大きく変わります。主な要因は以下の3つです。

  • 歯ぐきの炎症:歯肉炎や歯周病があると刺激に敏感になり、痛みを感じやすい
  • 歯石の量:歯石が多く溜まっているほど、除去時の刺激が強くなりやすい
  • 知覚過敏:歯の根元が露出していると、器具や水の刺激でしみることがある

逆に言えば、日頃のケアと定期受診を続けることで、これらの要因は改善していきます。「痛いかもしれない」という不安から歯科を遠ざけてしまうと、口の中の状態が悪化し、結果的により多くの痛みや処置が必要になるケースも少なくありません。

まずは「怖いけど行ってみよう」の一歩が大切です。不安なことがあれば、受診時に歯科衛生士や歯科医師に何でも聞いてみてください。

臨床でも、久しぶりにいらっしゃった患者さんほど「思ったより大丈夫だった」とおっしゃるケースが多く、まず来ていただくことが一番大切だと感じています。


平成30年に歯科衛生士免許を取得。
臨床現場で多くの患者さんの口腔ケアに携わる中で、
「毎日歯を磨いているのに、なぜ磨き残しが出るのか」
「どう伝えれば、セルフケアの行動が変わるのか」
という点に関心を持つようになる。

その後、医療現場を“外側”からも理解するため、
関西学院大学大学院 経営戦略研究科(MBA)を修了。

現在は、歯科衛生士としての臨床経験と、
経営・行動変容の視点を掛け合わせ、
「続けられるオーラルケア」をテーマに情報発信を行っている。

コメント