マウスピース矯正(インビザラインなど)を始めると、こんな疑問が出てくる方が多いです。
「矯正中にホワイトニングってしていいの?」 「なんか最近、歯が黄ばんできた気がする…」 「ホワイトニングのタイミングはいつがいいんだろう?」
矯正治療は数ヶ月〜2年以上かかることも多く、その間もできるだけ歯をきれいに保ちたいですよね。この記事では、マウスピース矯正中のホワイトニングについて、歯科衛生士の立場からわかりやすく解説します。
マウスピース矯正中にホワイトニングしても大丈夫?
結論:多くの場合、可能です
マウスピース矯正中でも、ホワイトニングができるケースは多いです。これはワイヤー矯正との大きな違いのひとつです。
マウスピース矯正中でも、ホワイトニングができるケースは多いです。
ただし、アタッチメントの有無や歯の状態によって適切なタイミングは変わるため、事前に歯科医院で相談することが大切です。
ワイヤー矯正の場合、歯の表面に金属のブラケットを接着しているため、ホワイトニング剤がブラケットの下に届かず、均一に白くするのが難しくなります。また、矯正装置をつけたままの施術は歯科医師も慎重になることが多く、矯正終了後まで待つケースがほとんどです。
一方、マウスピース矯正はマウスピースを取り外すことができます。そのため、ホワイトニング中はマウスピースを外した状態で処置を行うことができ、施術のタイミングによっては矯正中でも対応可能です。
ただし、「できる」とはいっても、タイミングや注意点があります。以降でくわしく説明していきます。
矯正中に歯が黄ばんだ気がする理由
「マウスピース矯正を始めてから、歯が黄ばんできた気がする」という声は、臨床でもよく聞きます。これにはいくつかの原因が考えられます。
① マウスピースの着用で着色しやすくなる
マウスピースを装着している時間(1日20〜22時間が目安)は、歯とマウスピースの間に唾液が流れにくい状態になります。唾液には歯の表面についた汚れを洗い流す働きがあるため、唾液の流れが少なくなると、その分、着色汚れ(ステイン)が落ちにくくなります。
コーヒーや紅茶など色の濃い飲み物はマウスピースを外して飲む必要がありますが、それでも食後の着色が蓄積しやすい環境になっていることは事実です。
② マウスピース自体が着色している
マウスピースは透明な素材でできていますが、使用するうちに少しずつ黄ばんでくることがあります。マウスピース越しに歯を見ると、実際よりも黄色く見えてしまうことがあります。
ケアが不十分だったり、着色しやすいものを飲食したりすると、マウスピースの変色が早まります。マウスピース自体のお手入れも、清潔感を保つために大切なポイントです。
③ 歯並びが変わることで、色の見え方が変わる
矯正治療が進むにつれて、歯の並び方が少しずつ変化します。このとき、これまで隠れていた歯の面(とくに歯と歯の間など)が見えるようになることがあります。
もともと着色していた部分や、色味が違う部分が表に出てくることで、「なんか黄ばんできた?」と感じることがあります。実際には歯の色自体が変わったわけではなく、見える面が変わったことによる変化です。
矯正中にホワイトニングをする場合の注意点
矯正中にホワイトニングを希望される場合、いくつか知っておいていただきたいことがあります。
アタッチメントへの影響
インビザラインなどのマウスピース矯正では、歯の動きをコントロールするために「アタッチメント」と呼ばれる小さな突起を歯の表面に接着することがあります。
ホワイトニングは歯の色を明るくしてくれますが、アタッチメント(レジン素材)自体は白くなりません。そのため、ホワイトニングが進むにつれて、歯の色とアタッチメントの色に差が出てきてしまうことがあります。
アタッチメントを外した後に歯の色に差が残ることもあるため、アタッチメントが入っている時期のホワイトニングは、慎重に進める必要があります。
知覚過敏が出ることがある
ホワイトニング後には、一時的に歯がしみる「知覚過敏」が出ることがあります。また、矯正治療中は歯を動かしているため、歯や歯根膜に負荷がかかっている状態です。この時期に知覚過敏が重なると、不快感が強く出る場合があります。
ホワイトニングを希望する場合は、事前に歯科医院で相談し、知覚過敏のリスクについても確認しておきましょう。
矯正中のホワイトニングは長持ちしないことがある
ホワイトニングの効果は、その後の生活習慣によって少しずつ後戻りします(リバウンドといいます)。矯正中は治療期間が長く、その間も飲食による着色は続くため、矯正の途中でホワイトニングをしても、矯正終了時には効果が薄れてしまっているケースがあります。
「せっかくホワイトニングしたのに、終わる頃には元に戻っていた」とならないよう、タイミングをよく考えることが大切です。
ホワイトニングをするおすすめのタイミング
矯正初期
矯正を始めたばかりの時期にホワイトニングを希望される方もいます。アタッチメントがまだない、あるいは少ない場合はホワイトニングに適した状態といえます。ただし、前述のようにその後の矯正期間中に効果が薄れやすいため、あくまで「早めにスタートしたい方向け」という位置づけになります。
矯正終盤
矯正の仕上げ段階に差し掛かったタイミングも、ホワイトニングを始める目安のひとつです。アタッチメントが外れはじめていれば、ホワイトニングの影響を受ける箇所も減ってきます。矯正終了後の「きれいな歯並び+白い歯」をゴールとして見据えながら、タイミングを調整するとよいでしょう。
矯正終了後
臨床の現場では、矯正終盤から矯正終了後にホワイトニングを行う方が最も多い印象があります。すべてのアタッチメントが外れ、歯並びも整った状態でホワイトニングを行うことで、歯全体に均一にアプローチできます。また、このタイミングで行うと効果が仕上がりに反映されやすく、満足度も高い傾向があります。
歯科衛生士からひとこと 個人的には、矯正終盤〜終了後にホワイトニングを行う方が、仕上がりがきれいになるケースが多いと感じています。歯並びが整った状態でホワイトニングをすると、ムラなく白くなりやすく、患者さんの満足度も高い印象があります。もちろん、矯正の進み具合やお口の状態によって最適なタイミングは異なりますので、担当の歯科衛生士や歯科医師と相談しながら決めるのがベストです。
まとめ
マウスピース矯正中のホワイトニングについて、ポイントをまとめます。
- マウスピース矯正はワイヤー矯正と違い、取り外しができるため、矯正中でもホワイトニングが可能なケースが多い
- 矯正中に歯が黄ばんで見える理由は「着色しやすい環境」「マウスピース自体の変色」「歯並びの変化による見え方の違い」などが考えられる
- アタッチメントがある時期は、ホワイトニング剤との色差が出やすいため注意が必要
- 知覚過敏のリスクや、効果の持続期間についても理解したうえで進めることが大切
- タイミングとしては、矯正終盤〜終了後が効果的なケースが多い
「矯正が終わったら白い歯も手に入れたい」という方は、矯正治療を担当している歯科医院でホワイトニングの相談もあわせてしてみてください。矯正のゴールに合わせたベストなタイミングを一緒に考えてもらえますよ。
平成30年に歯科衛生士免許を取得。
臨床現場で多くの患者さんの口腔ケアに携わる中で、
「毎日歯を磨いているのに、なぜ磨き残しが出るのか」
「どう伝えれば、セルフケアの行動が変わるのか」
という点に関心を持つようになる。
その後、医療現場を“外側”からも理解するため、
関西学院大学大学院 経営戦略研究科(MBA)を修了。
現在は、歯科衛生士としての臨床経験と、
経営・行動変容の視点を掛け合わせ、
「続けられるオーラルケア」をテーマに情報発信を行っている。




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